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2005/03/15

パニック!その2の5

 意を決し、侵入者に飛びかかっていった俺であったが.....。

---前回からのつづき---
 座して死ぬくらいなら足掻いてやる。一矢報いてやらなきゃ気が済まん。俺は、侵入者に飛びかかった。気が付いた男がナタを頭上に振り上げる。俺は心の中で雄叫びを上げていただろう。

(間に合う!)

男がナタを振り回すより先にその腕を両手で掴み、男の頭上で動きを封じることが出来た。相手は刃物とはいえ、この至近距離だ。これで多少揉み合っても怪我で済む。後は迷わず次の行動に出るのみ。短時間であったが、男に飛びかかることを決心した瞬間から、既に何度も一連の行動をシミュレーションしている。まずは両手で凶器を封じつつ(ここまでは上出来だ)相手のバランスを崩し、左手はそのまま右手で男の首根っこを掴み、倒れかけた方のテーブル、もしくはカウンターへ、そいつの頭を叩き付けるだけだ。渾身の力を込めて。
 手加減はしない、殺してやる。殺してやる。

(殺してやる!)

 俺は凶器を持った腕をねじり上げ.....た。が、その瞬間、得も言われぬ違和感に襲われる。
 冷水を浴びたように突如我に返ってしまった。訳が分らない。(何だ?そうか、そうだ、相手があまりにも非力なのだった!)男が少しでも抵抗していれば、興奮して我を失っていた俺は、迷わず凶行に及んでいたことだろう。ところが男は力なくあえぐだけで、こちらのなすがままだ。これは全く予想だにしなかった。完全に不利な形勢から一転、完全に優位に立ってしまった俺は、逆にパニックに陥った。保身のため迷わず相手を殺害しようとした本能と、突如覚醒した理性に挟まれて、もうどうして良いのか分らない。ぼやぼやしていたら命取りになるやもしれず、とはいえ相手はあまりにも非力だ。

(殺して良いものなのか.....?)

---つづく---

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