2005/05/02

小びとさんがいた!

 今パソコン関係の仕事をしているのは、高校が電子科だった、というわけでもないところが、この俺のよく分らないところ。実は高校以来、パソコンに再び触れることになったのは、俺が看板屋で働くことになったのがキッカケだ。看板屋というとペンキで文字を書くのが仕事のようで、俺もてっきりそういうことが出来るのかと期待して入社したわけなのであるが、実は最近の看板屋は、あまり文字を書かなくなった。カッティング・シート(以下“CS”)といって、大きなシート状のシール(様々な色がある)を文字の形に切って、看板やシャッターなどに貼り付けるのが主流なのだ。この CS、材料費こそペンキより多少高い程度だが、ペンキと違って乾くまで次の作業を待つ必要もなく、同じものを量産する場合など比較にならぬほど効率がよい。しかも、美しい文字を書く技術もいらないので、瞬く間に看板業界に普及した。ご多分に漏れず、俺の勤めていた会社にもそのシステムが導入された。会社と言っても、実質、社長と俺だけの小さな会社なので、そのパソコンを使った CS のシステムは専ら俺の担当と言うことになる。具体的な作業はパソコンに向かって図面を引き、カッター・プロッターという、シートを切る装置に出力するだけだ。パソコン上で図面を引くところは、簡易的な CAD みたいなものといえる。

 ある日、毎度厳しい仕事を持ち込んでくるクライアントから、小さなフローチャートの図面を、CS で出来ないかと相談を受けた。原稿を見てみると、使う色も多くて、しかも細かい。条件としては二つとも CS にはまるで向いていない。シートは単色なので、使う色毎にシートを切らなければならず、あまり細かい文字も技術的に難しいのだ。現在であれば、大判のプリンターでフルカラー印刷することも出来るが、当時は発色も悪く、コスト面でもクライアントの要望を満たせなかった。そのクライアントの困り果てた様子を見て、直感的に出来そうだと請け負ってしまったのがそもそもの間違い。結果的に相手を満足させる品物が出来てしまったので、似たような仕事が度々舞い込むようになった。出来るとなると、注文にも容赦が無くなる。最終的には  1m × 2m のアルミボードに、気が狂うほどの細かい図面を起すはめになった。一枚につき三日、寝ずにやって二日の作業量といったところか。.......それが 5 枚、納期は一週間で厳守だ。逆立ちしたって出来っこない。もちろん、出来ない仕事は引き受けられない。クライアント(女性)は土下座する勢いで俺に懇願したが、本当に出来ないのだ。俺だって出来れば協力したいが、プロとして断った。彼女は、話だけでも聞いてくれと、発注元の会社に俺を強引に連れて行って、担当者に引き合わす。俺は自分に出来ることを素直に説明し、ご希望の納期では奇跡でも起きない限り、品物を仕上げることは出来ないと、担当者に謝った。意外なことに担当者は食い下がることもなく、あっさりと「なるほどご事情はよく分りました。お忙しいところご苦労様でした。」というだけだった。予め彼女から、その担当者が今回の発注不手際で処分されてしまうかも、という話しを聞いていたので、正直なところ拍子抜けだった。おそらく、既に彼女と何度も話し合いが行われ、事情は重々承知といったところなのだろう。こんな時、無理強いされないのは逆に辛い。「とにかくやれ!」とでも言われれば、「できねぇんだよ!」と勢いで言い返せるのに.......。
「まいったな。」と、バーコード頭の担当者が、苦笑いしながらうつむき加減で後頭部をかいた時に、俺の腹は据わった。「分りました、お引き受けいたします。」(煮るなり焼くなり好きにしろ!)

 後から思えば、彼女の策略にはまったのが分る。(女は怖いな。)しかし、当時の俺はかなりのプレッシャーを背負っており、そんなことに想いをはせる余裕もない。仕事場に戻って早速作業に取りかかる。徹夜して一枚目を仕上げたが、案の定、丸二日かかった。あと五日で四枚。体は既にボロボロであるのに、これから先寝る間もないのだ、やれやれ。
 二枚目の作業の途中で、一つの工程が非常に面倒に思えてきた。もうこんな仕事したくない。そう思ってよくよく考えると、この工程はコストを削減するために必要なのであって、作業効率を考えると、むしろ別の方法が望ましいことに気付く。予想通り、方法を修正しただけで、随分と時間が節約出来た。それは体に対する負担が減ることにも繋がる。そういう視点で作業を見直すと、まだまだスピード優先に出来る作業工程があることに気付く。こうして俺の作業は日々バージョン・アップしていった。そのうちのいくつかは、ちょっとしたブレイク・スルー(技術革新)とでも言えるもので、なんとか納期に間に合いそうな予測もたってきた。ただしそれは、体力が持てばの話し。

 ここ一週間というもの、家に帰るどころか風呂に入るどころか横になって寝たこともない。限界が来たと思ったら、三十分ほど仮眠をとる。それで当初は五、六時間は動けるようになったが、納期前日には相当くたびれてしまい、二時間位しかもたない。いっそのことしっかり寝てしまえばいいものを、怖くてそれが出来ない。
「この仕事が終わったら、誰にはばかることもなく雄たけびをあげてやる!」
どうしてそう思ったか分からないが、その時一番したかったことがそれだった。

 深夜十二時を回り、納期当日となった。二時か三時に差し掛かった頃、猛烈な眠気に襲われる。あと数時間後には納品しなければならない。俺は最後の仮眠をとることにした。
 .......チュンチュンとスズメの鳴き声がする。作業場の窓から明るい日の光が差し込んでいる。朝だ。朝か.......俺は飛び起きた!

「朝ぁっっっ?!」
(なんということだ、寝過ごしてしまったのだ。)

(間に合わない、ここに来て間に合わないのだ。.......ここまで来たのに。)

 絶望の眼差しで作業中のボードを見る。作業中の.......、作業途中であるはずの.......ボードは完成していた。呆気にとられる。自分の目を疑う。だがしかし、信じられないことに品物が完成していたのだ。半ば腰が抜けて、作業椅子にへたり込む。安堵で涙が込み上げてきた。俺はさめざめと泣いた。

 これまでの人生で、仕事で涙を流したのはそれが最初だ。最後にしたい。

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2005/03/09

楽しみである!

 フィギュアスケート世界ジュニア選手権で、男女双方、日本人が優勝した。.......という快挙は、話として知っていたが、先日、優勝した二人の演技映像を、TV のニュース番組やワイドショーで観ることが出来た。俺はちょっと衝撃的なくらい感銘してしまった。二人(織田信成君と浅田真央ちゃんである)とも表現力が素晴らしいのだ。過去、日本人のフィギュアの演技を観て、俺がいつも物足りないと感じていたのは、ひとえにこの部分である。技術は素晴らしくても、なんか小さいんだよね、観てて。ところがこの、まだあどけない二人には演技のデカさというか豊かさが、もう既にある。そこだけ見ればもう円熟の域に達している、といえば過言だが(笑)、俺はあえてそう言いたい。

 随分昔のことであるが、TV 番組で、ロシアのバレエ学校の練習風景を、何気なく視ていた時であった。先生がポンと両手をたたく合図で、生徒である一人の少女が片足をスッと天高くさし上げる。遙か頭上にそのつま先が届いた瞬間、地に着いた足のかかとから、ヒザ、太モモ、上半身を抜け、天上のつま先へと“伸び”を加える。その一連の動作の美しいこと、優雅なことといったらこの上無かった。人はただ足を上げるだけで、これほど人を魅了できるものであろうか。当然、その域に達するまで相当の訓練が必要だったことは想像に難くない。そこに気づいてからあらためてバレエを鑑賞(TV ですが)すると、また違って見えてくる。ダンサーという表現者は、どの瞬間、どの角度から観られても美しくあるように、その身を振る舞っているのであったか!見事。

 さて、前述の二人に話を戻すが、彼らにも同じ事が言える。演技中、常に魅せることに心がけている。今までの選手のように、大技の前に“いかにも助走”したりしない。いや、正確に言えば、その助走の間でさえ、魅せることを忘れていない。素晴らしい! しかも彼らはまだジュニアなのだ。これから先が楽しみだよまったく。

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2005/02/10

まいったか!

 はっはっは。ディスク容量を 100MB に増やしてやったぜ!
 さぁ来い! 弟君!

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2005/02/04

素晴らしいのである!

 素晴らしい! カセ通信の写真掲示板に“ケンさん”が復活した。毎回素晴らしい写真を見るに付け、一人感嘆しておりました。(プロの写真家かデザイン関係のお仕事をしている方では無かろうか?)
 まず、コントラストが素晴らしい。それは時として明暗だったり、色の対比だったりするわけだが、その妙たるや毎度感心してしまう。そして日常の風景から切り取られたそのシルエットの清々しさ。そこには奇をてらった感が全くない。裸一貫真っ向勝負で全然平気な人なのだ。カッコイイねぇ。相当細やかな気配りをしているにもかかわらず、必要以上のことを全くしない潔さ。出来そうで出来ない事だと思う。

 素晴らしい! セブンイレブン限定の企画で、今、対象商品の缶コーヒーを買うとミニカーのオマケが付いてくる。これが良く出来てんのよ。まぁ細かいこと言ったらきりがないが、亜鉛合金製で重量感もある。普通におもちゃ屋で数百円位で売れるんじゃないだろうか。
Porsche 930Turbo & Ferrari 365GT4/BB
 もう四、五年くらい前からだが、飲料にオマケが付いているのは、少なくとも日本では当たり前になっている。よく考えれば恐ろしいことで、中にはオマケのレベルでは済まされないものも少なくない。これは中国のおかげだと言える。この手の殆どが中国製であり、中国製のものが無かったら、オマケどころか 100 円ショップだって成り立たないのである。日本の貨幣価値から見ればただ同然のコストでこんなものを作ってくる。驚異だよなぁ。
 数十年前のアメリカ人も、日本のトランジスタラジオを見て、きっと同じ事を思ったんだろうなぁ。

 風邪ひきそうだ。もうちょっと書きたいことがあったが、大事を取って今日はここまで。

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